名義貸しに関するトラブルが後を絶えません。名義貸しとは、なんらかの事情でローン契約などを組むことのできない(審査に通らない)人が、他人の名前(名義)を借りて、ローン契約を結ぶことです。名義を貸した人に逃げられ、借金を肩代わりするなどのトラブルに遭っている人に、「なぜ名義貸しなどをしてしまったのか」と尋ねますと、「信用できる人だったから」という答えが返ってくることがほとんどです。でも、待ってください。本当に社会的に信用できる人なら、他人から名義を借りる必要もなく、自分の名前でローン契約ができるはずです。なぜ、他人から名義を借りなければならないのか、と言えば、消費者金融や銀行とローン契約を結べない事情があるからにほかなりません。信頼性に欠けると判断され、審査に通らない可能性がある、あるいは実際に審査には通らなかった、からなのです。それでも、あなたは名義を貸しますか。
なんらかのパワー関係が存在していて、名義貸しを断りきれないという事情があるのかもしれません。しかし、ここではっきりお伝えしたいことがあります。名義貸しとは、困った人を助けてあげる、というただの親切な行為ではないのです。借りた側、貸した側のどちらも、詐欺罪に相当してしまう、非常に危険な行為なのです。
そこまで分かった上でも、やはり、断れないという場合。嘘も方便です。「今まで、言わなかったが、実は自分はブラックリストに載っているため、審査は通らないだろう」、「亡くなった祖父の遺言で一族全員に名義貸しはするなと言い含められている」などと言って、切り抜けましょう。それでも、としつこく食い下がられたら……。あなたは、その人の本性が、もうわかりはじめているのではないですか。まずは自分が傷つかないために、次に相手に罪を負わせないためにも……。名義貸しの依頼には、どんなにへりくだって粘られたとしても、毅然とした態度で臨み、きっぱり断るようにしたいものです。