未来を担う子どもたちに絶対的に不可欠な学業。その学費の支払いが困難となり、消費者金融など高利貸からの借金で穴埋めする親が、増えて来ているのだとか。私塾の経営者に理由を尋ねてみました。
「保護者の収入が減ってきてしまっていることが、なによりの要因でしょう。学費の支払いが困難な場合、就学支援のシステムは、公立の学校なら、その学校のある地方自治体に、私学でも、私学独自のものが用意されてあるはずなのですが、それらを利用することで、知り合いに知られるのが恥ずかしい、というような、ちょっと悪いコトバで言ってしまえば、親の見栄のようなものがあるようですね。消費者金融で借りるより、そうした公的な基金に頼った方が、金銭的負担はよっぽど少ないのですが、残念ながら、見栄の方を大事にしてしまうというのは、非常に残念なことです」。
また、公立高校の学費全般は、親の収入に応じては、無償の場合もありますが、私立高校の場合は、大阪府などが一部免除、というようなシステムを導入していますが、全額免除、というところはありません。近年、私立高校に子どもを通わせる親たち中心に、私立高校での学費無償化に向けての署名活動も盛んに行われています。ただ、「私学はお金持ちの行くところ。高い学費が払えないというのなら、公立に編入させればよい」というような考えも根強く残り、実現への道のりは遠いようです。
「そのように法制化されてしまえば、恥ずかしい、という気持ちが消えて、消費者金融で借金をしてまで、という親は減ると思うのですがね」。
金銭的な親の見栄も気になるが、学業に関しての見栄もついつい、張ってしまい、「子どもの宿題をやってしまう親がいるのには閉口します。レポートなど、親が必死で子どもの課題の体裁を整えてしまうんですね。普段その子が使わないようなコトバ遣いで書いてくるので、もしや……、って気づいてしまいますよ。保護者はもっと、見栄から自由に、本来の子どもの素晴らしさを認め、他者との比較ではなく、現在の生活水準のありのままを受け入れ、肯定できるようになって欲しいです」。