借金を麻薬に例える人がいます。まとまったお金がどうしても必要となり、身近に用立ててくれるような親兄弟、親戚も、友人もおらず、はじめてサラ金に出向いたとき。あんなに不安でドキドキしていたはずなのに、いつの間にか、借金をすることに躊躇いがなくなり、返済をするために、多数の消費者金融、銀行などから借り入れをする、自転車操業としか思えない多重債務に追われている……、というような。
本来、それほどの借金は必要がなかったはずなのです。本当に必要な分だけの借り入れをし、それをきちんと返済すれば、それで終わったはずなのです。いったいどうして、そのような借金地獄の羽目に陥ってしまったのでしょうか。
平成18年に新貸金業法が成立するまで、融資に関する法律は、貸金業者側に有利でした。借り手側に返済能力が見込まれないと分かっていても、高い金利で本来必要のない高額を貸し付け、返済のために、他社からの借り受けを勧めたり、クレジットカードの名義貸しを行わせたり、それでも回収の見込みがないとなると、生命保険をかけさせ、その受取金から返済させて暴利を貪る、というような「ヤミ金融」の手口も少なくありませんでした。それらの事態を重く見た政府は、借り手側がおもにヤミ金業者によるそうした追い込みに遭い、不利益を生じないために、法律を改正したのです。それが新貸金業法の制定や、出資法の改正です。
これらによって、総量規制と言う、融資金額の限度が設けられることになりました。現在、個人の借りられる融資額の上限は、年収の1/3までと定められ、不必要な借金を背負わないための安全網となっています。また、金利に関しても、かつては29.2%までは、刑罰の対象にはならなかったのですが、今は15020%以上は刑罰の対象となり得ます。かつて借り受けた融資額の利息についても、現行法に基づいた分だけ返せばよいので、払いすぎの人は思わぬ借金の減額があるかもしれません。
また、借金をしてから5年以上経過した上で、以下、三つの条件を満たしていることで借金の時効というものが成立する可能性もあります。
1. 一度も返済の実績がない
2. 時効が振り出しに戻っていない(貸し手側が裁判所に訴えるなどの手続きをしていない)
3. 時効の援用手続きをする(貸し手側に支払いの意志がないことを伝える)
しかし、本来、借りたものは必ず返すのが道義。借金の時効を待って、逃げ回ったり、息を潜めて暮らし続けるより、積極的に借金の整理を行うようにすること。不必要なお金を借りないようにすること。これに尽きるでしょう。